シルフィード有限会社は2015年に設立10周年を迎えました。「Maker’s Kimono Atelier Rin」というブランドと共に私たちがこの10年間取り組んできたのは、一言で言えば「伝統×カジュアル」の融合ということになります。
日本人の体形に一番似合う衣服である着物は、今の時代、決してポピュラーなものとは言えません。しかし着物は実は「究極のファッション」と呼ばれるほど奥の深いスタイル。帯や小物、バッグや帽子などコーディネートに幅があり、多様なおしゃれが楽しめます。私たちは日本の風土に連綿と流れるこの“粋”な文化を守りたい、そして和装というスタイルに息づく貴重な縫製技術を未来に残していきたいと考えました。日本古来の伝統を尊び、次の世代に継承していく―それを弊社の使命の中心に据えたのです。
一方で、私たちは古き良き伝統を時代にあわせて変えていくことも必要だと考えました。今は普段の暮らしの中で着物を着る機会はそれほど多くありません。ならば逆に、現代の風景にフィットする和服を作ることも必要ではないか? そういった発想からスタートしたのが“カジュアル着物”の創作です。デニム生地を使ったり、今風のデザインを採り入れることで外食やコンサート会場、旅行といったさまざまなシチュエーションで和装を楽しんでもらえるのではないかと思ったのです。
つまり伝統を守りつつ、革新の心も忘れない―弊社の精神を言葉にすると、そういうことになります。
ただ、私はここであまり難しいことを言いたくありません。私たちが目指すのは、あくまでも着物を通して、みなさんに素敵な時間をすごしてもらうこと。おしゃれをして街に繰り出すといった、大人の遊びに親しんでもらうこと。それに尽きるのです。
着物は面倒なものでも過去のものでもありません。とても自由でスタイリッシュで、今もとびっきり“粋”な存在―。
そんな和装の魅力を、私たちと一緒に楽しんでもらえれば嬉しいです。
シルフィード有限会社
代表取締役 岡上 誠